議論のヒント
大臣は恐る恐る申し上げた 「問題があるのは明白です」王様はおごそかにこたえた 「問題などどこにもないではないか」旅人は口笛を吹いていった 「捜したけれど問題はなかった」商人の妻はあきれてつぶやいた 「馬鹿には問題が見えないのね」さて… 問題はあ…
関西育ちのぼくは子供の頃、テレビのキャラクターを「ええもん」と「わるもん」に分けていた。「ええもん」は「良い者=善玉」、「わるもん」は「悪い者=悪玉」である。昔の子供番組はとくに善悪二元論に色分けされていたように思う。(「ガンダム」はそう…
あるクリティカル・シンキングの本に「思考の十大誤謬」が載っている。そのうちの1つが「グループ思考」だ。ライバル関係にあるビール会社A社とB社があるとする。A社の社員が「A社のビールはB社のビールより美味しい」と言う。あるいはB社の社員が「…
A:オレが貸した3万円そろそろ返してよ。 B:は? 金借りた覚えなんてないけど。 A:じゃ、おまえがオレに金を借りていないことを証明してよ。 この場合、Bさんは「Aさんから金を借りていないこと」を証明しなければならないでしょうか?そんなことあ…
国民性や民族性をネタにして笑いを誘うエスニック・ジョークというジャンルがあります。有名な例では… いろんな国の人が乗った豪華客船が沈没しそうになった。 それぞれの乗客たちを海に飛び込ませるには、どんな言葉をかければいいか。 アメリカ人には、「…
「解釈の分かれる文にご用心!」の続きです。 あのあと、井上ひさしさんの本を開いてみてビックリしました。井上ひさしさんはこんな風に発言していたのです。 「黒い目のきれいな女の子」。これだけの短い文に実は十八通りの意味あいがあるのです。 18通り…
「黒い目のきれいな女の子が18人いる!?」のつづきです。さて、ここまで11通りの解釈を見てきました。ネットで検索すると、同じ問題を取り上げている人が何人もいますが、やはり最大11通りのようです。 ここから先は、やや強引に解釈してみます。まず…
議論がすれ違う原因に、コトバの曖昧性があります。これは単語のレベルでも(語義曖昧)、文のレベル(文意不明確)でもいえます。両者とも、紀元前4世紀にアリストテレスが指摘した13の誤謬に含まれています。解釈が分かれる文について、作家の井上ひさ…
GWも今日が最終日。皆さまいかがお過しでしょうか。 ぼくは数日前、サイクリングに行ってきました。多摩川沿いに往復65kmほど。いい運動になりました。写真は、福生市で食べたサラダたっぷりピザ。お店の主人が畑で育てた野菜を使用しているそうです。さ…
つぎの2つの描写を比べてみましょう。 【描写1】 男はもう何日もヒゲを剃っていない。顔や手は垢だらけ。服や靴も薄汚れていて、だらしないことに泥までついている。【描写2】 男の眼は澄んでいた。ヒゲは伸び放題、手足や衣服も汚れていたが、内なる情熱…
※この記事は「きくこといいこと」ブログに引っ越しました。
※この記事は「きくこといいこと」ブログに引っ越しました。
ある意見について、その内容ではなく誰が発言したかにで判断し、退けようとすることを対人論法といいます。たとえば、ある人が日本経済の将来について提案を行ったとします。なのに、その人が現在無職であるという理由だけで彼の意見を退けるとするなら、そ…
「オッカムの剃刀(かみそり)」という思考の規則があります。 <オッカムの剃刀> あることがらを説明するときは、必要以上に多くの存在や前提を持ち込むべきではない。 これはもともとアリストテレスが唱えた思考規則だそうです。イングランドのオッカム村…
国境ってなんだろう?のつづき「国際法」とは国家間・国際社会の法のことです。 といっても、国際社会には国家の議会に相当するような統一的な立法機関は存在しません。そのため国際法のあり方は国内法とは異なっています。 すべての国家を拘束する国際法は…
尖閣諸島は誰のもの?(1)のつづき 1本の線を引いて その後をどこまでもたどっていきなさい それを国境とよびなさい その線の内側で暮らしなさい そもそも「国境」という概念はいつ定まったのでしょうか。 1万年前の地球には、国境は引かれていませんで…
領土問題の論理的な解法(2)のつづきそういえば最近、石原慎太郎東京都知事が尖閣諸島の買い取りを宣言してニュースになりましたね。領土問題シリーズを放置していたので、この題材をきっかけに考察してみたいと思いました。まず、たまたまネットニュース…
前提条件 [presupposition] 友だちとは話がすらすらとはこぶ。列車の中ではじめて会った人との間では,こんなふうにすらすらと話が進むというわけにはいかない。というのは,友だちとの間には,前もって二人の間にたくさんの共通の了解ができているからであ…
昨日の記事「独我論者の手紙」ですが、時間がないなかバタバタと書いたので、最後の方が少しわかりにくかったかもしれません。もう少し補足しておきます。テーマは「議論の尺度を合わせよう」です。 ジャンボジェットに乗ってコンビニへ! 「杓子は耳かきに…
私は高名な論理学者、クリスティン・ラッド・フランクリン女史から手紙を受け取ったことがある。それによると、彼女は独我論者なのだが、ほかにそういう人がいないのを驚きに思っているとのことであった。バートランド・ラッセル 「独我論」とは「他者の存在…
さて、昨日の記事の続きです。 まず、ネットの掲示板で見つけた書き込みを再掲します。 知りあいの女の子と議論になったんだが、彼女が言うには、 「男がいろんな女と毎週寝たら伝説のヒーロー扱いなのに、女が1年に2人の男と寝るだけで娼婦のような扱いなの…
知りあいの女の子と議論になったんだが、彼女が言うには、 「男がいろんな女と毎週寝たら伝説のヒーロー扱いなのに、女が1年に2人の男と寝るだけで娼婦のような扱いなのは、公平じゃない」 だからこう言ってやったんだ。 「もしいろんな錠前を開けられる鍵が…
1973年のある日、ネイティブアメリカンの男が飛行機でローマにやってきた。盛装した男は飛行機から一歩ずつ降りながらこう宣言した。「わたしは今日、イタリアを発見した」 このエピソードより500年ほど前(1492年)に、コロンブスという名のイタリア人が新…
まずは、ここで何が問題となっているのかということですね。 問題としてとりあげたいのは「決定手続き」です。ある島がA国に属するのか、それともB国に属するのかは、どんな思考手順をへて決定されるのかを考えてみましょうということです。たとえば、ひき…
A国とB国のあいだにある海上にC島という無人島がある。 A国・B国ともにC島を自国の固有の領土だと主張している。 しかしC島が、A国・B国に同時に属することはない。 この問題を論理的に解くにはどうすればいいだろうか。
20世紀を代表する天才科学者アインシュタインにも解けない難問を考えてみた。それはこんな問題である。 【問題】 さて、答えは何でしょう? 問題がないのに答えだけを求めるのはナンセンスだ。たとえアインシュタイン博士であろうと、どこにもない問題に正…
人気フリーペーパー「R25」には、毎回、JTの広告が大きく掲載されています。今日はこのJT広告を題材に "alternative view"(別の見方)について考えてみましょう。見開き広告の右半分にはハムレットの後ろ姿のイラストが描かれています。 亡霊となって…
※この記事は「きくこといいこと」ブログに引っ越しました。
議論がかみ合わない。 相手は正真正銘のバカだ。 相手は俺を正真正銘のバカだと思っている。 そんなとき、野球やサッカーや柔道みたいに 公正な審判がいるといいんじゃないか。審判のもと議論に負けたのなら、 俺も文句はいえない。相手だってそうだろう。ま…
昨日の記事でデカルトの『方法序説』に言及した。 「我思う。ゆえに我あり」で有名な、教科書にも登場する『方法序説』。だけど出版当時は発禁本すれすれ、相当ヤバイ(!)本だったことをご存知だろうか。『方法序説』が出版されたのは1637年。このときデカ…