領域を取得する6つの方法

国境ってなんだろう?のつづき

国際法」とは国家間・国際社会の法のことです。
といっても、国際社会には国家の議会に相当するような統一的な立法機関は存在しません。そのため国際法のあり方は国内法とは異なっています。

  • すべての国家を拘束する国際法は慣習でしか存在しない。
  • 条約は合意した当事国だけにしか拘束力は及ばない

つまり全国家が従う、明文化された国際法は存在しないということですね。

さて現代の国家は「領域」をもち、自国の領域については自由に支配できるとされています。ここで確認しておきたいのは、国家の領域がどんなルールで決定されているかです。

領域の取得と喪失、変更に関しては、以下の6つの方法があります。

  • 先占:誰もいない土地を発見し、領有の宣言をして占有すること。
  • 割譲:条約などにより他国の領土を平和的に手に入れること。実際には、戦争の結果領土の一部を手に入れるケースが多い。アメリカがロシアからアラスカを購入した例も(1867年)。
  • 併合:すべての領域を譲ること。
  • 添付:新しく土地ができたときのこと。埋め立ては人工的な例。海底火山の噴火による新島の出現は自然現象による例。
  • 時効:他国のものだった土地を時効によって取得すること。
  • 征服:一国が他国の領土を強制的に自国の領土とすること。

よく「固有の領土」などといいますね。「固有」とは「固(もと)より有る」ということ。
しかし、1万年前には国家は存在せず(たぶん)、現在あるすべての国家が歴史的・人為的なシステムであるという意味においては、「固有」は一種のキャッチフレーズだと考えておいた方がいいかもしれません。
たとえば日本の場合だと、北海道にはアイヌ民族が先に暮らしていましたが、江戸時代に和人によって征服された歴史もあります。

ここでは紛争の当事国がお互いに主張する「固有」という曖昧な概念はひとまず棚上げにして、上記6つの手段のうち何が具体的に領有の根拠とされているかについて考察したいと思います。

(参考)
「世界大百科事典」(平凡社
国際法を学ぼう!:国家の領域