ロジカルに感情をコントロールするための2ステップ

ひとそれぞれ持っている能力が違います。100メートルを速く走れる人もいれば、企画立案が得意な人もいるのは当然ですね。
ある人がもつ能力がどの程度発揮されるかについては、心理状態に大きく左右されます。逆に言えば、自分の感情をうまくコントロールできれば、本来持っている能力を発揮しやすくなります。

<感情をコントロールし、能力を発揮しやすい状態になるための2ステップ>

  1. 現状の心理状態を4種類のどれかに分類する
  2. 自分がコントロールできることに集中する

【ステップ1】 現状の心理状態を4種類のどれかに分類する。

心理状態は4種類に分類できます。

  • ハイ・ポジティブ:エネルギーがあって、リラックスしている。やる気にあふれ、行動自体を楽しむ余裕がある状態。周りの状況がよく把握でき、自分をコントロールできている状態。
  • ハイ・ネガティブ:エネルギーはあるが、無駄に緊張している状態。周りに対して攻撃的になり、エネルギーをあたりかまわず噴出する。
  • ロー・ポジティブ:エネルギーはないが、リラックスしている。周りに対してそれほど注意を払わない。集中力はなく、とりとめない空想をめぐらせている。
  • ロー・ネガティブ:エネルギーもなく、無駄に緊張している状態。イライラ、うんざり、消耗しきっている。どこかに隠れたいような状態。

以上4種類のうち、まず自分がどの心理状態にいるかを把握します。


【ステップ2】 自分がコントロールできることに集中する

何か行動を起こすのにいちばんいいのは、ハイ・ポジティブの心理状態です。そこに移るためには、「自分がコントロールできること」に集中する必要があります。

具体例で考えてみましょう。たとえば、サラリーマンが帰宅後にカバンを見ると、あろうことか他人のカバンと取り違えていたことが発覚したとします。

  • ロー・ネガティブ:「大事な書類が入っているのに。見つからなかったらどうしよう。あーもうダメだ…」
  • ロー・ポジティブ:「もう一杯飲んでしまったしなあ。まあ、相手も気付いているだろうから、そのうち連絡がくるだろう。きっと大したことにはならないさ」
  • ハイ・ネガティブ:「誰かが俺のカバンを間違えてもっていきやがった。なんて奴だ。そういえば数ヶ月前にカバンを買い替えたいと言った時に、妻が反対していた。あの反対さえなければ。どいつもこいつも俺の邪魔をしやがって。あーむしゃくしゃする」

ハイ・ネガティブ状態なら、起ってしまったできごとや家族に不満をぶつけるのをやめて、いま自分に何ができるのか、を考える必要があります。
ロー・ポジティブ状態なら、人まかせにせず具体的にどう行動したらいいのか切替えるのがいいでしょう。
ロー・ネガティブの状態なら、まずはそこから抜け出すきっかけを見つけることからですね。

コントロールできることに集中することで、ハイ・ポジティブの心理状態を引き寄せることができます。すると視野が広がり、いろんな選択肢を楽しめるようになれます。

  • ハイ・ポジティブ:「ひょっとしてカバンを取り違えた相手が将来の顧客になる可能性はないだろうか。そうじゃなかったとしても、今回の経験は面白いトークネタになりそうだ。なぜカバンが取り違えられたのかとか、人によってカバンの好みが重なるのはなぜだろうかとか分析すると、企画のヒントが見つかるかもしれないぞ。…とにかくまずは目の前の問題を解決しよう」などなど。

アメリカのあるビジネススクールでは、成功した人400人と落伍者400人について研究、両者を区別する特色は学歴ではなく、ストレスの対処法だという結論に達しました。
成功したビジネスマンは、ストレスのある状況を、チャレンジに値する、問題を解決し克服するための状況とみなした。一方、落伍者は単にストレスのある状況ととらえ、とにかく回避しようとすることしか考えなかったのです。

心理状態を把握しコントロールすることで、実力を発揮しやすい状況を自ら作り出す方法、さっそく実践してみてはいかがでしょうか。


※『ビジネスマンのための メンタルタフネス』(ジム・レーヤー著/阪急コミュニケーションズ)を参考に書いてみましたが、自分がいつも上手くコントロールできているかというと、全然そんなことないです。ちょっとしたメモということで、皆さんの参考になれば幸いです。

※ストレスとコントロールの切り離せない関係