「15秒」のアクセントはどこにあるか?
ある人からこんなことを尋ねられた。
「15秒」というときのアクセントについて
「ジュー」を強調して「ジューゴビョー」というのと、「ゴ」を強調して「ジューゴビョー」というのと、どちらが正しいのか?
どちらでもいいような気もするが、それでは答えにならない。なぜそういえるのか、根拠が必要である。
普通の単語なら『アクセント辞典』を引けばいい。しかし「15」と「秒」が組合わさった「15秒」については、辞書を引いても正解は分からない。
その場では答えられなくて、ちょっと悔しい思いをしたのだが、ネットで検索するとNHK放送文化研究所のサイトに説明があった。
Q 最近、「15分」「15日」のアクセントが変わってきたようですが。
A そのとおりです。
つづいて、以下のことが解説されていた。
- 共通語のアクセントではもともと「15分」は「ジューゴフン」、「15日」は「ジューゴニチ」のように、頭にアクセントがあった。
- ところが最近では「ジューゴフン」「ジューゴニチ」のように、助数詞(分や日)の前のところにアクセントが来るようになってきた。
- それには理由がある。たとえば「11分」から「19分」のアクセントでは「15分」以外はすべて助数詞「分」の前にアクセントがくる。「15分」についても他の仲間のアクセントに引きずられた結果「ジューゴフン」という言い方が登場したのだろう。
- ただし、現在のところ、放送では「ジューゴフン」と言ってほしい。
なるほど。だいたいの事情は理解できた。理由については、「ではなぜもともと『15分』だけが頭にアクセントがきているのか」についても知りたいところだけれど。
ちなみに、このNHK放送文化研究所の説明は14年前(1998年)のものだ。
アリストテレスがリストアップした13の誤謬のひとつである「アクセント(強調)の誤謬」については、あらためて。