武田邦彦「錯覚とりの練習(3)副流煙」へのコメント

武田邦彦さんの動画へのコメント。たまに消えてしまうことがあるので、念のためこちらにコピペしておきます。



藤本ヨシカズ@質問学です。(グラフの目盛りの間違いを武田さんに教えてあげたのは私です。笑)

タバコ副流煙と肺がんの関係について、武田さんは「男性喫煙率」と「女性肺がん死亡者数」だけを見てあれこれ語っていますが、それではまるでファンタジーです。当然ながら、因果関係の推定にはきちんとした科学的手続きが必要になります。 具体的には下記リンク先で国立がん研究センターの報告を読むことができます。そこからさらに論文(英文)にも行けますので、興味がある方は確認してみてください。

受動喫煙とたばこを吸わない女性の肺がんとの関連について
http://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/309.html

武田氏が言及している「平山論文」は、ネットで誰でも読むことができます。1981年の古い論文なので、現代の基準から見れば大雑把なところもありますが、世界的にも高い評価を受けている論文です。

Non-smoking wives of heavy smokers have a higher risk of lung cancer: a study from Japan(平山論文)
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/6779940

武田さんの本『早死にしたくなければ、タバコはやめないほうがいい』(竹書房新書)を見ると、この論文について初歩的な誤読をしていることがわかります。さらには、なぜかこの論文からグラフを盗用したうえで、間違った説明を加えて自著に載せています。(中部大学の皆様。あなたの大学こんなんでいいんですか?)

詳しくはリンク先記事の(6)(7)をご覧ください。 「ニセ科学本」はデータをどう扱っているか?
http://d.hatena.ne.jp/yosikazuf/20150627/p1

武田先生、「錯覚をとる練習」という目の付け所はいいんですけど、(1)基本的な情報を調べること (2)論文はきちんと読むこと (3)盗用しないこと ……このあたりは最低限のルールとして心がけた方がよろしいかと思いますよ。