グーグルは「どこでもドア」である。

グーグルは、目的地へと一瞬でたどりつける「どこでもドア」だ。昔なら図書館への往復もふくめて二時間かかった調べもの作業が、いまは二分ですむようになった。しかもグーグル的図書館には、世界中のあらゆる言語で記された書物がならんでる。単語を教えるだけで、めあての情報がどさっと手元に運ばれてくる。

その一方で、ぼくたちは目的地にたどりつくまでの体験を省略することに慣れてしまった。山登りでいえば、一瞬で頂上までワープするようなものだ。途中で景色を楽しんだり、汗をぬぐったりすることがない。スポーツの試合結果だけ、小説の結末だけ、パズルの解答だけを教えてもらうことに似ている。「答えにたどり着いた」満足感はすぐに消えてしまう。

グーグルに聞くか、ひとに聞くか?

ドラえもんは毎回「どこでもドア」を使っているわけではない。のんびり歩いたり、息を切らして走ったり、空を飛んでみたり、あれこれやってみるから面白い。検索すればわかることでも、あえて答えを見ずに時間をかけて解答をさがしてみる楽しさもある。