JTタバコ「メビウス」の果てしなき循環
表と裏がない(つながっている)「メビウスの帯」は有名だ。どこまでも終わりがない、永遠に持続するイメージとしてリサイクルマークにも使用されている。
この不思議な帯の概念は1790年生まれのドイツの数学者アウグスト・フェルディナント・メビウスに由来する。ちなみに、この数学者メビウスの原語表記は"Möbius"である。
さて、JT=日本たばこ産業が主力ブランド「マイルドセブン」の名称を「メビウス」に変更することを発表した。主力ブランドの名称をわざわざ変更する背景にはJTの海外戦略がある。
実は「マイルド」や「ライト」といったネーミングはEU=ヨーロッパ連合やアメリカなどで禁止されている。健康への害が少ないと消費者の誤解を招くようなネーミングは許されない。もちろんJTのホームページを見てもそんな事情は載っていないけれど。
ちなみにJTの新ブランド「メビウス」の綴りは"MEVIUS"。JTのプレスリリースによれば、次のような意味なのだそうだ。
■新ブランド名称 MEVIUS について
MILD SEVEN の M と S を受け継ぎながら、進化 Evolution を意味する E と V を加え、さらにブランドの I とお客様の U(YOU)とのつながりを表現。
MILD SEVEN のブランド価値を引き継ぎながら、世界のお客様とともに終わりなき進化を続けていくグローバルプレミアムブランドでありつづけたいという意志を込めました。
JTの「メビウス」と聞いて、ぼくはやっぱり「永遠につづくメビウスの帯」を連想してしまう。それはこんな循環だ。
よく「タバコを吸ってストレス解消」といわれるが、実際にはニコチン切れで生じるイライラをニコチン補給で解消しているにすぎない。一時的に「スッキリ」したあとは30分もたたないうちに次のニコチン切れのイライラ、ソワソワがやってくるというわけだ。
このニコチン切れのメビウス的循環から逃れるためには、きっぱりとニコチンを断つより方法がない。
そんな風に考えてみると「メビウス」といういうのは、なかなか奥が深いネーミングだなあという気がしてくるのである。