波と山脈

これは葛飾北斎の「冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏」。
荒波の向こうにみえる小さな、堂々とした富士山。西洋風のカチッとした遠近法に縛られていると、なかなかこんな大胆な構図は思い浮かびません。ゴッホはこの絵を賞賛し、ドビュッシーはここから発想を得て交響詩『海』を作曲したと言われています。

ヒマラヤ山脈の航空写真(wikipedia)

こちらのリンク先は、飛行機から見下ろしたヒマラヤ山脈の写真。
ぼくたちが生まれてから死ぬまでの、たかだか100年のタイムスケールでは、この壮大な光景が大きく変化することはないでしょう。

とはいえ、何千万年とか何億年とかのタイムスケールで見れば、ヒマラヤ山脈だって、寄せては消える波のようなものかもしれません。

※出典:クジラの進化とテチス海,動物、古生物うんちく,川崎悟司 オフィシャルブログ 古世界の住人

山とか石とか、永遠に変わらないように見えるものと、波とか風とか、現れては消えるものと。実は大した違いがないのではないかとも思うのです。