なかよしグループの論理

国家、民族、宗教、右派・左派といった政治的スタンス、禁煙など社会問題へのアプローチ…なんでもいいけれど、大きな方向性が同じなら個々の意見も共存しやすい。

たとえば、「憲法は改正した方がいい」とか「東京オリンピックに向けて飲食店は禁煙にすべき」のような共通理解があるグループ内では、細かい論点の違いはほとんど問題にならない。これを仮に「なかよしグループの論理」と呼んでおこう。

ところがそこに大きな方向性が異なる意見が入ってきたとたん、「なかよしグループの論理」は危機に陥る。今までたいして頭も使わずに共感していたところに、「でもこんな考え方もあるよね」と、疑問が差し挟まれたわけだ。

たいていの場合、「仲良しグループ」はこれを受け入れることができない。外部の意見を慌てて否定しようとして、それが上手くいかないと、その外部を排除しようとする。挙げ句の果てに、相手を「何もわかっていない」「バカ」呼ばわりすることもある。

たとえば政治の右派・左派でいえば、これはどちらか一方だけに当てはまることではなく、それぞれが「なかよしグループ」として思考停止する可能性を孕んでいる。

大きな方向性を異にする者どうしが議論を成立させるためには、相手の意見の正確な理解が必要である。話せば話すほど、議論に新しい要素が加われば加わるほど、意見はどんどんズレていきそうになる。それを根気よくすり合わせていくのである。そのとき初めて、グループ外部との対話が成立するのだ。