東京オリンピックにむけて。受動喫煙を理解する図を描いてみた

欧米諸国はもちろん、今年から韓国でも飲食店の完全禁煙化が達成された。一方東京では、2020年オリンピックに向けての禁煙化の雲行きが怪しいという。なぜ、日本で禁煙化が遅れているのか。僕が気になる2つの論点を挙げておきます。

(1)怪しげな噂が、科学者の名で語られていること

日本人は年に三万二千人が自殺する。そのうちの二千人くらいを調べたところ、たばこを吸う人が一人もいなかった。たばこは自殺防止にも役立つのではないか。

出典:「不良」長寿のすすめ 奥村康(順天堂大学医学部教授)

この奥村先生は免疫学の権威だといわれていて、また「東京都受動喫煙防止対策検討会」の委員でもあります。ところが、この「情報」はまったくのデタラメです(万一ソースを知っている人がいたら教えてください。笑)。つまり、医学の分野でそれなりに実績のある人が、根拠のない噂を振りまき、それを鵜呑みにする人がいる。そういう現象が起こっているということ。

(2)受動喫煙健康被害をめぐる議論が混乱していること

一方、環境中たばこ煙は非喫煙者の疾病の原因であるという主張については、説得力のある形では示されていません。環境中たばこ煙への曝露と非喫煙者の疾病発生率の上昇との統計的関連性は立証されていないものと私たちは考えています。

出典:JTウェブサイト 環境中たばこ煙

受動喫煙は本当に健康被害を与えるのか。なかなか素人には判断がつきにくいですね。そこで、私なりの理解を図にしてみました。

【調査のしくみ】
長期的な健康被害は、単独の調査だけで完全にクロと断定するにはいたらない。

【主張A】(WHOなど)
多くの調査を合わせて検証すると健康被害が認定できる。またその程度は、水道水や食品などの安全基準を大幅に上回っている。

【主張B】(JTなど)
ある単独の調査を見たところ、受動喫煙の被害が証明されているとはいえない。

【公共政策の選択】
AとBどちらの主張にもとづいて政策を行うか?

受動喫煙健康被害をめぐる大まかな仕組みがわかるのではないでしょうか。「証明されている」「証明されていない」「WHOが言っている」「○○教授が言っている」…etc.から一歩下がった目線で、問題を眺めてみるのもいいかもしれませんね。