りんごのこたえ
りんごが一個、木から落ちてきました。
「なぜりんごは落ちるのに月は落ちてこないのだろう?」
そう考えたひとは、科学の扉をひらきました。
「アップルパイのとびきり美味しい作り方は?」
そう考えたひとは、街いちばんのパティシエになりました。
「りんごに傷があってもよろこんで買ってもらえるには?」
そう考えたひとは、大金持ちになりました。
「りんごを本物よりも本物らしく描くには?」
そう考えたひとは、誰よりもじょうずな画家になりました。
おなじりんごでも
質問がちがえば
こたえもちがってきます。
「林檎」の漢字が気になって辞書をひいたら、
「鳥があつまる木」という意味をみつけました。
「アップル」という企業の名前をしらべたら、
「マッキントッシュ」がりんごの品種だと知りました。
ある思想家はこんな言葉をのこしています。
「答えではなくどんな質問をするかで、その人物を判断せよ」
なるほど。
こたえの数は、質問の数だけあるのです。
りんごをかじりながら、
明日はどんな日になるか、
想像をふくらませてみました。