【メモ】加工肉とタバコはごっちゃにしちゃダメ

WHO(世界保健機関)の専門組織が、ハムなどの加工肉の発がん性評価を発表、「喫煙と同レベル」になったというニュース、ご存知ですか? これは誤解する人もいると思うので、情報整理のためにメモしておきます。


国際がん研究機関は26日、ハムやソーセージなどの加工肉を毎日50gずつ食べた場合、大腸がんになるリスクが18%増えると発表しました。そして、加工肉の発がん性の評価を、喫煙やアスベストと同じ最高レベルに分類しました。
出典:テレ朝NEWS(2015/10/27)

これだけ読むと、えっ?って思いますよね。「喫煙やアスベストと同じ最高レベル」って???

でもここは冷静に判断しましょう。この「最高レベル」(国際がん研究機関/IARCのグループ1)とは、「根拠となるデータ・論文が十分にある」という意味での「最高レベル」です。リスクの大きさではありません。

  1. 根拠の強さ(データ・論文が十分あるか)
  2. リスクの大きさ(発がんリスクがどの程度増大するか)

「加工肉の発がん性については、根拠となるデータ・論文は十分にある(最高レベル)。一方、リスクの大きさにはまた別問題ですよ(最高レベルではない)」と、まずは理解しておきましょう。

タバコと加工肉のリスクを比較すると?

ちなみにリスクの大きさでいえば、こんなデータがあるそうです。

イギリスの場合だと…

生涯で肺がんになる割合
非喫煙者:100人に1人
・喫煙者(1日1箱):100人中20人以上

生涯で腸のがんになる割合
・全体:100人に6人
・+加工肉超過摂取(1日50g):100人に7人

発がんの頻度・リスク増ともに、「リスクの大きさ」についてタバコと加工肉を同レベルとして扱うには、無理があります。

また、国立がん研究センターの調査では、欧米より肉類摂取が低い日本人の一般的なレベルなら大腸がんリスクとならないという結果が出ています。このことも知っておいたほうがいいでしょう。

詳しくはこちらの解説記事をご覧ください→IARCがレッドミート及び加工肉のがんリスクを発表…不安になる前にJPHCスタディを見よう

国立がん研究センターによるエビデンス評価の表

根拠の強さ、エビデンス(証拠)の評価ということでは、国立がん研究センターのこちらの表が情報整理に役立ちます。現時点では、肉と大腸がんの因果関係についての評価は「(保存肉/赤肉)可能性あり↑」となっています。(詳しくはリンク先をご覧ください)