ショートショートのメソッド

1分で読める「ショートショート」を書いてみました。ぜひお読みください。

『王と妃の看板』

「百メートル先を左折」という看板には、王と妃の絵が描かれていた。わたしは吸い寄せられるようにハンドルを切り、二人が住む邸にたどり着いた。

かれらは柔やかだった。そしてわたしの悩みごとを我がことのように涙を流して聞いてくれた。二人の答えはまるでバラバラだったが、それがまたわたしの心を軽くした。相談料は百円。きっと金には不自由していないのだろう。

昔々、その場所には王国が存在したという。いま国は滅び、王と妃だけがひっそりと暮らしている。わたしは彼らに出逢えて幸運だった。しかし、王の機嫌が悪いときに訪ねて打ち首になった者もいたそうだ。

いかがでしょうか。正直、たいして出来がいいとは思いません。わざわざブログに載っけて読んでもらうものでもないでしょう。

でも作品のできはともかくとして、短時間で「小説」が書けてしまったことに、わたしは素直に驚きました。

ショートショート作家の田丸雅智さんは2013年から「超ショートショート講座」と題した講座を各地で行っていて、小学生からシニアまで幅広い方を対象に「同じ方法」で書き方を伝えているのだそうです。講座は90分、そのなかで実際にアイデアを練り作品を仕上げる時間は40分だとか。

これは看板に偽りなしで、いくつかの質問に答えるだけで、その人オリジナルの「ショートショート」が書けます。そのとおりに仕上げてみたのが、上記の300字にも満たない作品です。

一度やってみて思ったのは、同じ方法でまた40分かければ、次回作が必ず完成するということです。これはぜひ近々やってみようと思います。

いきなり傑作ができなくてもいい。でも、とにかく一度完成させてみる。そこには誰もが使える明快な方法がある。このことに新鮮な感動を覚えました。

今いろんな分野の人から学びながらまとめている「質問学」も、こんな風に明快なメソッドにできるといいなあ。