腹が立ったときに役立つ「鏡」の質問

「腹が立ったら、10かぞえて、それから口をきけ。すごく立ったら、100だ」

トマス・ジェファーソン(第3代米国大統領/大久保博訳)

When angry count to ten before you speak. If very angry, count to one hundred.--Thomas Jefferson

皆さんも、腹が立ったりイライラしたりすることありますよね? そんなときの対処法をひとつご紹介します。

自分の感情を、そのまま観察する。

これだけです。


◎反応はひとによって違う

腹が立つきっかけは、さまざまです。「道路でポイ捨てを見かけた。許せない」「不倫をしたタレントが堂々とテレビに出ている!」「政治家がとんでもない発言をした。日本はどうなってるんだ」「無視された。バカにしているっ」などなど。

これ、少し考えるとわかりますが、同じできごとに遭遇しても人によって反応はさまざま。腹が立つ人もいれば、立たない人もいるんです。

誰でも殴られたり、ナイフで刺されたら痛みを感じます。これは直接的・生理的な反応です。
でも「不倫タレントが出演しているのを見て腹が立つ」というのは、あくまでもその人自身の反応であって、そうでない人も世の中にはたくさんいます。

そのとき、「ほかのやつらは何もわかっていない」という方向で感情を高めていくと、さらにイライラが激しくなります。
そうではなく、「腹が立つのは、自分自身のとらえ方の問題なのだ」ということが分かれば、そこにイライラを治めるヒントがあります。


◎価値観の「フィルター」

他人がポイ捨てしようが、タレントが不倫しようが、政治家がとんでもない発言をしようが、いま自分自身に直接の危害がおよぶわけではありません。

それでも腹が立つのは、「○○は××であるべきだ」という強い信念、いわば「価値観のフィルター」があなたの中にあるからです。そのフィルターを通してジャッジするから「腹が立つ」。そうでない人は、あなたのようにはイライラしない。これが現実です。

とはいえ、腹が立つこと自体が悪いわけではありません。人間誰しも腹が立つことはあるものです。もちろんわたしも腹が立ったりイライラしたりします。インチキ学者を見るとムカムカします(笑)


◎心のなかに「鏡」をもつ

腹が立ったときに有効な対処法。それは「いま、自分は腹を立てている」という状態を、そのまま自己観察することです。

たとえるなら、自分のなかに「鏡」をもち、そこに映った「腹を立てている自分」を外から観察してあげるということです。

「自分はいま、カッカしているなあ」(観察)

「腹を立てているということは、自分の中にそうさせる要素があるんだな」(分析)

そうして「観察モード」になることで、自分の状態を客観視することができ、その後のセルフコントロールも容易になります。


◎習慣化する

この「心の鏡を見る」技術は、興奮状態のときにいきなりトライしようとしてもできません。だけど日頃から習慣化すれば、それだけの効果が得られます。喜怒哀楽、なんでもいいのです。「いま、自分は嬉しい気持ちになっているなぁ」「悲しみで胸が痛むような気持ちだ」「こころがポカポカしてきた」「いまイライラしてる、イライラしてる…」など。

心が動くとき、それを鏡に映すように観察する練習をすれば、いざというときも感情にながされにくくなります。


◎カウンセリングの基礎技術

わたしは最近「傾聴」という、もともとはロジャースという心理学者が開発したカウンセリング系の講座を受講しています。簡単にいえば、「傾聴」とは「自分が、相手の心を映す鏡になってあげること」です。

相手の気持ちを(善悪の判断抜きに)そのまま理解してあげる

その理解を相手と共有することで、相手が自身のそのままの気持ちを見つめることができる

心理的な重荷から解放され、心のエネルギーの状態があがっていく(かも)

この際の対話にはいろんなスキルがあります。それはそうとして、「相手の気持ちを理解・共有する」ためには、まず「自分自身の気持ちを理解する」スキルを身につけておく必要があります。

【腹が立ったときに役立つ質問】
自分の「こころの鏡」には、いま何が映っているか?(観察してみよう)

よかったら、皆さんも試してみてください。

「腹が立ったら、4つかぞえろ。すごく立ったら、悪態をつけ」

マーク・トウェイン

歴史的にいろんな方法はありますけどね。