禁煙できない考え方、できる考え方(前提を問い直す)
昨日、某カフェにいると、スーツ姿の男が二人はいってきました。
後輩らしき男が先輩らしき男にたずねます。
「喫煙にしますか?」
先輩が答えました。
「うーん。いま禁煙中なんだけど…。一本もらっちゃおうかなァ」
そして、二人は喫煙席に入っていったのでした。
わたしはこのやりとりを聞いていて、「この先輩は考え方を根本的に変えないかぎり、禁煙できないだろうな」と思いました。
なぜなら彼は、まちがった前提を抱えたまま禁煙しようとしているからです。
「先輩」の禁煙法
前提:タバコを吸うとリラックスできる。
方法:吸いたくなってもがまんする。
これ、はっきり言ってキツイです。無理です。
「吸えばリラックスできる」いいモノを、これから一生ガマンし続けるなんて。
禁煙を成功させるためには、「タバコでリラックスできる」という前提を問い直すことが効果的です。
タバコを吸って「ホッとする」という感覚。これは脳の仕組みでいえば「ニコチン切れのイライラを解消している」だけなんですね。そこに注目して前提を置き換えてみましょう。
楽に禁煙する方法
前提:タバコを吸うとニコチン切れのイライラが解消できる。
方法:そもそもタバコを吸わなければ、ニコチン切れのイライラも生じない。
いかがでしょう。こちらの考え方の方が楽にタバコばなれできると思いませんか?
問題がうまく解消できないとき、自分がどんな前提をかかえているのか問い直してみることは、とても有効な方法です。
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学校で、クラスメイトから嫌がらせを受けている生徒がいるとします。
このとき「同じ学校、同じ教室に通い続けなければいけない」「親や先生に話してはいけない」という前提のまま問題を解消しようとしても、なかなかうまくいきません。ひとりでストレスをかかえこむことになってしまいます。
「そもそも同じ学校、同じ教室に通う必要はあるのだろうか?」「もし親や先生に話すとしたら、どんな話し方がいいだろうか?」と前提を問い直すことで、解決策の選択肢も広がってくるはずです。
あごひげとセーラー服の組み合わせが見事な「セーラー服おじさん」の本職は、理科系のエリートサラリーマンだと聞いたことがあります。
もし彼が「サラリーマンはセーラー服で街を歩いてはならない」という前提のまま行動していたら、こんなに有名になって大勢の若者に囲まれて写真をとったり、海外のイベントに呼ばれたりすることもなかったでしょう。
なんでもかんでも常識外れのことをすればいいというわけではありません。
だけど、「前提を問い直してみる」ことで、目の前にあった壁が取り払われて、新しい風景が見えてくることは覚えておいていいと思います。