ボビー・オロゴンさんに質問してみた
先月、ナイジェリア出身のタレント、ボビー・オロゴンさんに取材する機会がありました。ボビーさんといえば、いろんな勘違いの交じったヘンテコな日本語で有名。最近では、独特の日本語を活かしてテレビ番組「YOUは何しに日本へ?」のナレーションでも活躍中です。
人権ラジオ番組の事前取材だったので、メインのテーマは日本に住む外国人の差別問題です。ところが前もって資料を見ると、番組の作り手側が何となく想像していたような、「日本でこんなイヤなことがあった。差別はいけないです〜」というような考えを、まったく持っていないことがわかりました。むしろ、「差別なんてカンケーない。ピンチをチャンスに変えよう!」というようなスタンスにみえました。
それを含めて、事前情報を3つにまとめると、つぎのとおり。
- バカなことばっかりやっているようにみえて、実は頭がいい。
- 時間をダラダラ使うことはきらい。気が短い。
- 「差別はダメです〜」というありふれた話はしたくない。
そんななか、当日、取材場所に指定されたのは、格闘技のジムでした。つまり、「トレーニングの合間に取材時間をつくります」ということ。ジムのなかでは、他の人たちがトレーニングの真っ最中です。会議室や喫茶店とはぜんぜん雰囲気がちがいます。
そんななかで、ぼくはどんな質問をすればいいのか考えました。「あれこれ、長い挨拶や説明をしても場の雰囲気がもたないだろう」「日本で体験したイヤな体験を聞いても、はぐらかされてしまうかもしれない」…などなど。
そして、ぼくは挨拶のあと、まず番組の目的を単刀直入に話し、こんな質問をしてみました。「ボビーさんは日本人になって何が変わりましたか?」
ボビーさんは日本人女性と結婚し、2007年には日本国籍を取得しています。これは番組リスナーにとって「あ、そうなんだ!」と意外性のある情報だと思い、まずそこから聞いてみたのです。
ボビーさんもこの質問には乗ってくれました。「今までは海外で日本のことを話すときでも、日本に住む外国人としての立場だった。でも日本人になって、こんどは日本人の立場で話すようになった。日本に愛着がわき、日本のことをもっともっと知りたいと思うようになった」というような話を聞かせてくれました。
その後には、いま撮影中の映画の話も。その映画は日本に住むいろんな外国人が登場するコメディタッチのドキュメンタリーなのだそうです。
でも、15分、20分と取材しているうちに、本番ではどんなことを喋ればいいのか、ご本人が十分にイメージできたらしく、早くトレーニングに戻りたいという雰囲気が全身から伺えましたが。
どんな状況のなかで、何を質問するか…とてもいい勉強になった取材体験でした。
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