哲学は役に立たないか?

哲学は役にたたない、という人がいます。

これは当たり前の話で、哲学は役に立ちません。役に立つ分野はどんどん哲学から分かれていって、「科学」と呼ばれるようになるからです。

たとえば、「人の心って、どんな風にできてるんだろう?」「人がものを考えるってどういうことだろう?」と、いろんな哲学者が考えました。そんな中から「心理学」や「脳科学」の分野が分かれていったのです。

「…ってどういうことなんだろう?」という疑問から、役に立つ体系(科学)を取り除いた残りの部分。それが哲学なのです。

人類最初の哲学者は、こんな質問を発しました。「この世界は何でできているのだろう?」
それまで世界は神様が作ったものであり、悠久の昔から存在するものであり、「何でできているか?」なんて、誰も考えたことがありませんでした。

世界は何でできている?・・・「水」か「空気」か、それとも…??? そんな疑問から哲学ははじまりました。

哲学はギリシャ語「フィロソフィア」の訳語。これは「知を愛する」(philo-sophia)という意味ですね。哲学も(哲学から分かれた)科学も、「何だろう?」「なぜだろう?」という問いから始まっているのです。

今から400年ほど前、フランスのある若者は、この世界の何が真実で何が間違いかを知るために、学校や図書館で読める本はみんな読んでしまいました。その後、あちこち旅をして、宮廷や軍隊、いろんな身分の人と交流して、それぞれの人の考え方を聞きました。

すると、自分たちにとっては奇妙にみえることでも、他の国にいけば大勢の人に受入れられていることがいくらでもあることに気づきました。

これは「近代哲学の父」ともいわれるデカルトの若い頃の話。人間社会やこの世界の「真と偽」を知りたいという、並外れた好奇心が伺えます。

哲学は役に立たないか?

もちろん、役に立ちません。だけど、二千数百年にわたる哲学の歴史は、人類の知の集積である現代社会とつなたっていて、あなたが今日発する小さな問いともつながっているのです。

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