「面白い質問」の4条件

「面白い」という日本語の原義は「面」が「白い」、つまり「目の前の景色がパッと明るくなること」だそうです。

そんな意味での「面白い質問」。ぼくのイメージは「わくわくする」「お互いに発見がある」「目標に向かって進みたくなる」ような質問です。そんな「面白い」質問ができれば、答えをさがすプロセスも楽しくなるのではないでしょうか。

「面白い質問」を作ってみたい! そのために「面白い質問」が成り立つ条件を考えてみようと思います。

とりあえず「面白い質問」の条件を4つ書き出してみました。この4つの条件のうち3つ備えていれば「面白い質問」だといえるのではないかと、仮説を立ててみます。

「面白い質問」の条件(仮説)

  1. わくわくする
  2. 発見がある
  3. 前向きに行動したくなる
  4. 具体的

◎「なぜリンゴは地面に落ちるのに、月は落ちてこないのか?」(ニュートン

  1. わくわくする:これは主観なので、答えを考える人がわくわくするかどうかがポイントになりそうです。
  2. 発見がある:ニュートン以前の時代、リンゴの落下と月の軌道を同じレベルで真剣に考える人はいなかったのではないでしょうか。その意味において、この質問には今までになかった視点があり、質問に答えることは、新しい発見があるといえます。
  3. 前向きに行動したくなる:地上と天上を統一的に理解を目指して、ニュートンは前向きに行動したといえます。
  4. 具体的:「リンゴ」「月」という具体的な物が題材になっています。

※以上、主観に属する1(わくわく)も含めると、4条件揃っているといえそうです。

◎「絶対に失敗しないと分かっていたら、あなたは何に挑戦するだろう?」

  1. わくわくする:自分の可能性を広げて考える点で「わくわくする」質問だといえます。
  2. 発見がある:今まで「どうせ無理だ」「失敗するのが怖い」と思って思考から除外していた「何か」を考える点で、「発見が」あるといえます。
  3. 前向きに行動したくなる:これもあてはまります。
  4. 具体的:「何に」(what)を具体的に問う質問です。

※これも4条件備えている質問だといえます。

◎「デーモン小暮閣下は、普段の話し声は低音のダミ声なのに、歌っているときにはボーイソプラノのように高くなるのはなんで?」阿川佐和子『聞く力』より)

  1. わくわく:これも主観に属することではありますが。
  2. 発見:阿川さんの素朴な疑問です。ヘヴィメタルの知識がない一般の人(ぼくも含む)にとっては、この音楽ジャンルを「発見」するいい機会になりそうです。
  3. 前向きな行動:直接の行動には結びつかないかもしれません。「行動に誘う」よりは「知る喜び」のウェイトが高い質問だといえます。
  4. 具体的:「デーモン小暮閣下」「低音のダミ声」「ボーイソプラノのように高い声」など。

※4条件のうち3(前向きに行動)を除いて、3条件揃っているといえます。

◎「もし今日が人生最後の日だとすれば、今日しようと思っていることは、本当にしたいことだろうか?」スティーブ・ジョブズ

  1. わくわく:「わくわく」というよりは「真剣な問いかけ」でしょうか、僕の印象では。
  2. 発見:ふだんの一日を非日常的な観点でチェックすることで、今日という一日の価値や自分の生き方を再発見することができます。
  3. 前向きな行動:この質問に答えることで、今日どうすごすかの行動が変わります。
  4. 具体的:「人生最後の日」という特別な一日が提示されています。

※1(わくわく)を除いても、残りの3条件が揃っています。

◎「なぜ写真ができるのを待たなければいけないの?」ポラロイドカメラ発明のきっかけとなった4歳の女の子の質問)

  1. わくわく:普通の人ならそのままスルーした可能性大ですが、発明家の父にとっては刺激的なパズルのようにわくわくする質問でした。
  2. 発見:今まで当たり前だと思っていたことより深く、原点にもどって問い直す質問には、これまで見過ごしていた発見が隠れている可能性が。
  3. 前向きな行動:長く待たずに見られる写真(ポラロイドカメラ)の発明に繋がりました。
  4. 具体的:写真の現像・プリントについての具体的な仕組みを問い直す質問です。

※4条件揃った質問だといえます。

以上、いかがでしょうか。「わくわくする」という条件は、あくまで主観的なものなので、「(その人にとって)わくわくする」と考えていいかもしれません。その意味では「面白い質問」とは、「誰にとっても面白い質問」である必要はなく、「その人にとって面白い質問」だと言えます。

ここで紹介したのは、ぼくにとっての「面白い質問」の例です。

今回、いくつか具体的な質問で検証してみましたが、仮説として立ててみた4条件は「なかなか悪くない」「けっこういけそうだ」という気がしました。

ちなみに、明治大学教授の齋藤孝さんは著書『質問力』で、「いい質問」のキーワードを「具体的かつ本質的」と述べています。ぼくが「具体的」という条件を入れた理由のひとつは、このキーワードを意識したからでもあります。「本質的」は「発見」「前向きな行動」と重なってくると考えています。

では、この「面白い質問の4条件」を意識することで、実際に「面白い質問」が作れるようになるのでしょうか。これは、ぼく自身が継続的に取り組みながら、このブログ記事でも報告したいと考えています。

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