フランクル『夜と霧』の質問
究極の「面白い質問」とは何でしょうか?
「面白い」という言葉のイメージからすると本命ではないけれど、質問の本質を明らかにするうえで、「面白い質問」チャンピオンの候補に入れておきたい質問があります。
みなさんはヴィクトール・フランクル『夜と霧』という本をご存知でしょうか。ユダヤ人心理学者であるフランクルがナチス強制収容所体験をつづった本で、20世紀記録文学の古典です。原題を直訳すると『それでも人生に然りと言う:ある心理学者、強制収容所を体験する』となります。
アマゾンの内容紹介から引用します。
〈わたしたちは、おそらくこれまでのどの時代の人間も知らなかった「人間」を知った。では、この人間とはなにものか。人間とは、人間とはなにかをつねに決定する存在だ。人間とは、ガス室を発明した存在だ。しかし同時に、ガス室に入っても毅然として祈りのことばを口にする存在でもあるのだ〉
彼はナチスの強制収容所で著者は極限におかれた人々の心理状態を分析します。なぜ監督官たちは人間を虫けらのように扱って平気でいられるのか、被収容者たちはどうやって精神の平衡を保ち、または崩壊させてゆくのか…。
さて、ここでフランクルが抱いていた問いは、つぎのように言えそうです。
「強制収容所という極限状態において、人々の心理はどうなるのか?」
この質問をもつことによって、彼は収容所という極限状態でも、「絶望」以外の生き方を見出すことができました。
◎「強制収容所という極限状態において、人々の心理はどうなるのか?」
- わくわくする:ーーー
- 具体的:「強制収容所」という極めて特殊な状況で、人々の「行動」を(後に記録できるように)観察する。
- 発見:それまでは誰も記録しなかったことを見つけ出していく
- 前向きな行動:この問いを持つことが彼自身に「生きる意味」をもたらした。また、戦後さまざまな意味で影響をもたらした。
「わくわくする」という心情ではなかったと思いますが、この質問は「具体性」「発見」「前向きな行動」という「面白い質問」の条件を備え、収容所におけるフランクル自身の生き方を「No」ではなく「Yes」へと根本的に変える働きをもったといえそうです。
どんな質問をもつかによって、答えが変わる。
そのもっとも本質的で劇的な例のひとつが、フランクルの体験ではないでしょうか。
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