1/2の予言者
闇のなかから予言者が現れた
予言者の顔の
半分だけが
闇に浮かび上がっていた
わけではない
あろうことか
予言者には
片側しか存在しないのだ
予言者はこうつぶやいた
今日私たちが出会う確率は
1/2だった
なぜなら私たちは
今日出会うか
それとも出会わないかの
どちらかだったからだ
ぼくは予言者に尋ねた
つぎに大地震が起こるのはいつだろう?
予言者は重々しい口調で答えた
全身に鳥肌が立った
明日、大地震が起こる確率は?
彼は眉間に皺を寄せ、絞り出すように答えた
コロコロコロ…
ポケットからサイコロがこぼれ落ちた
このサイコロを振って
1の目がでる確率は1/2
なぜならこのサイコロは1の目がでるか
でないかのどちらかだからだ
私は開いた口がふさがらなかった
そして
最後に予言者はウインクしながら囁いた
片目を閉じれば、世界は半分になるぜ