ブロガー議員・おときた駿さんタウンミーティング

はじめて接する社会問題について、どうやって頭の中を整理すればいいのか。わたしは次のように考えています。

【聞く】(listen to)
相手の意見を「立論=主張+根拠」として理解する。

【聞く】(ask)
今後につながる「質問」をもつ。

参考記事:「聞く」の2つの意味(listen to, ask)

◎おときた駿さんのタウンミーティング

今日、ブロガー都議会議員・おときた駿さん主催のタウンミーティング(対話集会)に参加iしました。

テーマは「社会的養護/児童養護」。つまり、親が死亡したり虐待があったりして、家庭で子供を育てられないケースの社会的な対策です。ドイツ、オランダ・イギリスを視察した事例紹介と質疑応答がありました。

わたし自身はこのテーマについて知識らしい知識をもっていません。ほぼ白紙の状態から「彼の話はどんな立論になっているのだろうか」と、耳を傾けてみました。簡単に整理すると、つぎのようになります。

【主張】
日本は養護施設中心から養子や里親中心へとシステムを転換すべきである。

【現状】
保護者がいない子供を児童養護施設に長期間置くシステムには問題が多い。

  • スタッフ1人あたり大勢の子供をみることになり、ケアがいきとどかない。
  • 家庭の愛情を知らずに育つので、愛着障害の発生が多くなる(ロシアの例では10〜15倍)
  • 18歳で施設を出たあと、成人となる20歳までブランクがあり、不利益が多い。

etc.

【解決策】
ヨーロッパ(ドイツ、オランダ、イギリス)では「子供を社会全体で育てる」という考え方が浸透していて、日本のような長期にわたる施設での養護ではなく、養子縁組や里親による子育てへと社会システムの転換が進んでいる。(根拠として、たとえば、かつてルーマニア戦災孤児をイギリスで引き受けた例では、1.養子 2.里親 3.施設の順でいい結果が得られた)

ざっと以上のような流れになります。もちろん、実際の話はこれよりずっと複雑で、乳幼児施設の問題(上記の国では原則として廃止)や障害児の扱い方、またオランダの場合は、里親・養子制度の充実という段階を経て、もういちど子供をもとの家族に戻す試みが行われていることなど、さまざまな論点があります。

とはいえどんな問題であれ、まず「主張」と「根拠」のかたちで理解しておけば、これから「賛成する」「反対する」「建設的に議論する」「自分の意見を改良する」など、柔軟な対応が可能になります。

そうではなく、ただ漫然と聞いているだけだと、情報がバラバラに入ってくるだけで自分の意見がもてません。また、最初から賛成・反対にこだわりすぎると、自分と異なる意見に対して「反対」「曲解」「レッテルばり」など偏った対応しかできなくなります。

参考記事:ディベートにおける「聴くこと」の重要性

◎自分なりの質問をもとう

今回、音喜多さんの話でいちばん印象に残ったのは、イギリス、オランダ、ドイツなどの国では「子供の利益が最優先」という価値観が徹底されているという話でした。

以前なら(いまの日本でも)、金持ちの子供は充実した教育が受けられ貧乏な家の子供は十分な教育が受けられないことは、社会的な常識でした。ましてや施設で暮らす子供たちは…

ところが上記の国々では、教育格差の問題や、家庭や施設における虐待問題にとりくむうちに、「子供は親の所有物」という見方から「子供の利益が最優先」という考え方へと根本的な転換がはかられました。

子供の利益が最優先

もし、あなたがこの考え方を受入れることができれば問題の見え方が大きく変わってくるはずです。ヨーロッパの事例への理解も容易になるでしょう。あるいは、たとえ賛成ではなくても「『子供の利益が最優先』という考え方は是か非か」という質問を頭のなかに持つだけで、今後、この社会問題に接するときの基本姿勢ができることでしょう。

質問をもつことは、答えを見つけることの第一歩なのです。

まとめ

初めて接する社会問題については、次の手順を踏むといい。

  1. 相手の意見を「立論=主張+根拠」として理解する。
  2. 今後につながる「質問」をもつ。

そうすることで、問題に接するときの基本姿勢ができる。

※社会的養護・児童養護についての音喜多さんのブログはこちら
ドイツ・オランダ・イギリスに共通していた、社会的養護・児童養護の見習うべき点まとめ