図書館ではデジカメ撮影禁止?

図書館で写真を撮ろうとしたら警備員がやってきて、「館内では撮影禁止ですよ」と注意された。「あれ、ここは外では?」と瞬間思ったが、よく見ると、入り口の扉は二重になっていて、わたしがデジカメをかまえていた場所も建物の中ではある。そばには「館内での本や雑誌の撮影禁止」という貼り紙もあった。でも、わたしが撮ろうとしたのは本や雑誌ではなく、掲示物である。これが撮影禁止だという理由は何だろうか? そこに興味がわいてきた。

「本や雑誌が撮影禁止であることはわかりました。だとしても、これを撮ってはいけないという理由は何ですか?」と、質問してみる。「館内は撮影禁止なんです」と、警備員さん。「いまはその理由をきいているんですが」と、わたし。「うーん。それは図書館の職員さんに聞いてもらわないと」と再び警備員さん。そんなわけで、職員を呼んできてもらうことになった。

職員さんの説明では、本や雑誌をデジカメで撮影することは、著作権上問題があるという。でも今回、その理由は当てはまらない。何度か質問してみて、館内における撮影禁止には三つの理由があることがわかった。

  1. 本や雑誌の撮影は著作権侵害にあたること。
  2. 写真にほかの利用者が写りこむと、肖像権侵害にあたるおそれがあること。
  3. 館内で写真撮影をしているところをほかの利用者が見ると、「撮影してもいい」という誤解を与えるおそれがあること。

「なるほどなるほど。その理由はわかりました。だとすると、職員さん立ち会いのうえで、許可をいただいてこれを撮影することはできますか?」と、あらためて質問してみた。すると、「そうですね…。この掲示自体は皆さんに見ていただくためのものですし、お断りする理由がないですね」と、職員さん。結局、許可をいただいたうえで掲示物を撮影することができ、職員さんと警備員さんにお礼を言って図書館を後にした。

ピース又吉芥川賞受賞作『火花』の予約件数が七百四十八件。その順番待ちをする七百四十八人の顔がわんさか思い浮かんできて、ついつい撮りたくなったのだった。これ、めっちゃ多くないですか?



【追記】(2015.11.11)
電話で問い合わせてみました。『火花』は東京都中央区の図書館3館で15冊購入したのだとか。数年経って需要が少なくなった本は閉架書庫に移されたり、リサイクルで希望者に譲渡したりするそうです。