メモ:JT部長のミスリード

【記事】受動喫煙防止へ対策は
http://apital.asahi.com/article/story/2015110700015.html

分煙で迷惑避けられる 日本たばこ産業社会環境推進担当部長・宮下剛さん

 受動喫煙の場合はどうか。当社は、国際がん研究機関(IARC)が喫煙者の夫と暮らす非喫煙者の妻について肺がんリスクを調べたとして紹介した多くの論文を、2004年時点で分析しました。「受動喫煙との関係が統計的に有意」とする論文は13%に過ぎず、「有意ではない」との論文が87%を占めました。

 煙を吸い込む量が受動喫煙では少ない。自らたばこを吸うのとは違い、特定の疾病を引き起こすリスクが高まるとまでは言い切れません。

※わたしの見解

この記事でJTの宮下部長は読者を誤った方向へと誘導している。

国際がん研究機関(IARC)の2004年の報告は下記リンク先で読める。そこでは受動喫煙が肺がんリスクを上昇させるとう証拠は十分にあると結論づけられている。肺がんという人命にかかわる病気に関して、専門機関の報告書の一部だけをつまみだし、全体の結論(リスクは確定的)とは逆の主張(リスクが高まるとは言い切れない)へと消費者を誘導することは、企業として非常に不誠実な態度である。

p227-230(詳細), p251(まとめ)
http://monographs.iarc.fr/ENG/Monographs/vol100E/mono100E-7.pdf


【追記】
こんなコメントをいただきました。

JTアメリカ大手のフィリップモリス社のホームページに書かれてある内容を比べると面白いです。

JT:「環境中たばこ煙への曝露と非喫煙者の疾病発生率の上昇との統計的関連性は立証されていないものと私たちは考えています。」

フィリップモリス「環境中たばこ煙は、成人の非喫煙者に肺がんや心臓病などの疾病を引き起こすと、公衆衛生当局は結論づけています。環境中たばこ煙が健康に及ぼすリスクに関する公衆衛生当局の結論は、広く周知される必要があります。」

アメリカの場合は、裁判の過程で内部告発や、内部資料の公開などもあり、タバコ産業が健康被害の認識についてごまかす余地がなくなりました。のらりくらりとした態度をとり続けるJTとの違いは明らかですね。