WHOの喫煙シーン「成人向け」勧告
世界保健機関(WHO)が喫煙シーンのある映画やドラマを「成人向け」に指定するよう各国政府に勧告したことが話題になっていますね。たとえば YOMIURI ONLINEでも、「賛成/反対」の意見募集をしています。皆さんはどんなご意見ですか?
1. 若者を喫煙に誘導しているとして、世界保健機関(WHO)が、喫煙シーンのある映画やドラマを「成人向け」に指定するよう各国政府に勧告しました。
WHOによると、登場人物や役者の行動に影響されやすい若者がまねをして喫煙を始めるケースが多いといい、米国では、新たに喫煙者となった青少年のうち、映画やドラマが直接的なきっかけとなって吸い始めた人の割合が37%に上るとの調査結果もあるそうです。
喫煙シーンの「成人向け」指定に賛成か反対かをお聞きします。ご意見も併せてお寄せください。
わたしは、この議論には2つの論点があると思います。
◎論点2「論理と心理」
観客・視聴者を「論理的」ととらえるか「心理的」ととらえるかでも、結果がちがってきます。
WHOの勧告は「健康&心理」の観点から規制案を勧告しています。
一方、反対の人に多いのは「表現&論理」からの主張です。つまり「表現の自由は大切」「直接煙がかかるわけでなく、映像の中の話なのだから、見る側が論理的に判断すればいい」という立場ですね。
これ自体は、どちらが絶対的に正しいというわけではありません。
社会的・時代的背景の中で、どの解決策に説得力があるかという問題になってきます。
たとえば、100年後の将来「喫煙」という行為が完全に過去の行為になり、一般の人々にとって縁遠いものとなったとします。
すると、「喫煙=葉っぱを燃やして不完全燃焼の煙を吸いこむこと」は時代劇で斬り合いをしているようなもので、22世紀の子供たちはそれを見てもほとんど影響を受けないかもしれません。
大きな流れでいえば、今は「喫煙社会→脱喫煙社会」へのまっただ中です。
- 「影響される子供が多いから規制すべきだ」
- 「いやいや、それは理性的に判断すればいいこと。表現の自由をむやみに規制すべきではない」
どちらの主張にもそれなりの理由があると思います。
皆さんがどちらの立場かはともかく、「質問学」ブログとしては、2つの論点(目的は何か、人間をどう捉えるか)が交錯する「議論の構造」に注目していただきたいと考えます。