「人ひとり殺すと、いくらですか?」(西原理恵子の質問)


漫画家・西原理恵子は、アジアの貧しい国を旅するとき、必ずする質問が3つあるという。

  1. 「汁そば一杯いくらですか?」
  2. 「玉子一個、いくらですか?」
  3. 「人ひとり殺すと、いくらですか?」

この3つを聞くと、その国の貨幣価値がだいたいわかるのだそうだ。

3つめの質問は、人が殺された場合の、遺族への賠償金について。

たとえばベトナムだと、日本円にして20万円の金額。20万円といえば、ベトナムの街じゅうを走っていたホンダの「ドリーム」(カブ)より3万円ほど安い。「ドリーム」は23万円ほどだったという。

人の命のほうが、オートバイよりも3万円ほど安い。
(『この世でいちばん大事な「カネ」の話』西原理恵子理論社


西原理恵子の3つめの質問「人ひとり殺すと、いくらですか?」は面白い。この質問で、ベトナム社会の、ベトナムと日本の格差の、人間の本質的な何かがあらわになる。

齋藤孝は『質問力』(ちくま文庫)で、いい質問とは「具体的かつ本質的」な質問だと言っている。「人ひとり殺すと、いくらですか?」は、まさに「具体的かつ本質的」だ。そして、どこまでも西原理恵子らしい質問でもあると思う。

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