「自分が決める/他人が決める」2つの価値

東京都世田谷区の桜新町にある長谷川町子美術館には「サザエさん」の作者・長谷川町子が生前集めた美術品が展示されています。

長谷川町子さんは絵を買うとき、その絵が世間でどんな評価を受けているかは気にせず、自分がその絵を好きかどうかという気持ちにしたがって選んだそうです。

モノであれ人物であれ行動であれ、ひとがその価値を決めるときには2つの基準があります。それは「自分が決める」と「他人が決める」です。「他人が決める」方は「市場価値」ともいいかえられます。

たとえば、若い頃にある演劇を観たと経験があるとします。それはとくに有名な劇団でもなく、内容も演劇業界の中ではありふれたものだったかもしれません。つまり、市場価値としては大した演劇ではなかった。
でも自分がもし生まれてはじめて演劇を体験して、そこで今までにない感動を覚えたなら、それは他人の評価にかかわらず自分にとって価値がある体験だったといえます。

周りの人が誉めてくれる、喜んでくれる、評価してくれる、お金を払ってくれる。これらはすべて「他人が決める価値=市場価値」です。

もちろん、他人が評価してくれたら嬉しい。逆に、けなされたり無視されたりしたら悲しいし、落ち込むこともあるでしょう。

もしあなたが、「他人が決める価値」だけを基準にするとしたら、喜んだり悲しんだり、救われたり、絶望したり、あなたの気分もジェットコースターのように浮き沈みします。ものごとが上手くいきっぱなしの人などいないし、たとえ成功が続いても、それはそれで、同じ成功だと物足りなくなることでしょう。

ところが反対に「自分で決める価値」は、文字どおり、自分自身でコントロールしたり育てていくことができます。「他人の評価はわからないけど、自分はこれ(この人etc.)が好きだ」という気持ち。「今回は負けてしまったけど、自分としてはこんな学び(気づき、収穫、進歩…)があった」という自己確認など。

この「自分で決める価値」を持っている人は、自分らしい自然体で生きていける人です。

もちろん、「自分で決める価値」が反社会的だったり、他人を傷つけたり、他人と対立するものだったりするとやっかいです。だけどそうじゃない場合は、「自分で決める価値」:「他人が決める価値」=8:2 ぐらいで考えておくと、そのときどきの成功や失敗、他人の評価に振り回されずにすみます。

他人が誉めてくれると、うれしい。他人が評価してくれないと、悲しい。それは人間として当然の感情だけれども、それはあくまで全体の中の2割とか3割にとどめておいて、あとは、自分がこうありたいという自分を少しずつ育てていく感覚でしょうか。

まあ、8:2というのは、あくまでも一つの考え方なので、それが5:5でも別にかまいません。

でも、「他人が決める価値」だけを気にして落ち込んだり「自分はダメだ」と絶望したりするよりは、2種類の価値(「自分が決める」「他人が決める」)があることを知っておいてその配分を考える方が、毎日をいい気分ですごせると思いませんか。

【Q】
「自分が決める価値」と「他人が決める価値」…あなたはいまどちらの価値で判断していますか?

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