灘中の入試問題を解いてみた

灘中の算数の入試問題に「小6に解かせるのは鬼畜」の声」というネットニュース(livedoor)をみかけた。
灘中といえば中学受験の最難関校のひとつである。ぼくは同じ兵庫県出身だから、灘中と聞くと「これは少々のことでは手が届かないな」という、大昔の感覚がおぼろげながら蘇ってくる。
せっかくなので、記事で紹介されている問題を解いてみよう。

一辺の長さが1cmの立方体の形をした透明なブロックを、すきまなく並べて直方体を作ります。この直方体の1つの頂点から、残り7つの頂点の中で最も遠い 頂点に向かって光線を発射します。光線はまっすぐ進み、ブロックによって反射したり方向が変化したりすることはありません。この光線が貫いているブロック の個数を数えます。ただし、光線がブロックの頂点のみを通っている場合や辺のみを通っている場合には、光線がブロックを貫いているとは考えられません。
ブロック202500個をたて75cm、横90cm、高さ30cmの直方体に並べたとき、貫かれたブロックは何個ですか。

「202500個」…20マン2セン5ヒャク個! これだけ見ると気が遠くなりそうだが、つまりは図1のような直方体だ。この対角線上に直線を引いたとき、何個のブロックを通過するかという問題である。(図1)

数に圧倒されると、どう手を付けていいのかわからなくなる。でも、おそらくは212500個のブロックでできた直方体の中を光線が通過するとき、もっと小さな直方体のパターンが繰り返されているのだろうと見当をつけてみる。

90と75と30の最大公約数は15。それぞれの辺を15で割れば、6cm×5cm×2cmの小さな直方体を取り出すことができる。この小さな直方体の対角線を光線が通過する。このパターンが15回繰り返されるわけだ(図2)。光線はこの中の何個のブロックを通過しているのだろう。

図3のように上から見てみよう。すると、だいたいこんな感じで通過していることがわかる。でもフリーハンドだと、通過しているのかしていないのか紛らわしいところもある。

さらに、図3の左上の部分の9個をクローズアップしてみる。(図4)

もしも3cm×3cmの正方形なら、通過するのは3個だけだが、今回はすこしずれている(2.5cmのところを通る)ので、5個通過することがわかる。
ここまでわかれば、ゴールはもうすぐだ。

図3にもどると、通過するのは10個のブロックだ。
実際には、図2のように2段になっているが、図3の左半分の5個は上の段、右半分の5個は下の段、と考えると、光線が通過するのが10個のブロックであることには変わりない。

図1の大きな直方体は、図2の小さな直方体のパターンが15回繰り返されたものだと考えればいい。
すると、光線が通るブロックは10個×15で150個となる。

いかがでしょうか。一応答えはでたが、もっと簡単な解き方があるかもしれない。(誰かわかったら教えてください)
ちなみに、ここでぼくが取った方法は、複雑にみえる問題を小さく分割して考えるという方法になりそうだ。これはデカルトが有名な『方法序説』で紹介した4つの規則の2番目にあたる。

第二は、わたしが検討する難問の一つ一つを、できるだけ多くの、しかも問題をよりよく解くために必要なだけの小部分に分割すること。

方法序説』(デカルト岩波文庫

いやはやしかし、1問だけをじっくり考えて解くならともかく、実際には50分の制限時間で15問解くわけである。ぼくには無理そうだ。