春は、いつからいつまで?(コトバの意味について)

※「人間とは何か?(遊ぶ人)」のつづき

春ですねえ。東京では桜の花がきれいです。

ところで、春はなぜ「はる」というのでしょう?

一説には、草木の芽が「張る」からだとも。万葉集でも「春ははりつつ 秋は散りけり」と歌われています(巻9・1707)。生命力がみなぎって、つぼみや芽がピンと張るところから「はる」と呼んだわけですね。

ちなみに英語の spring は「急に動く」「飛び出る」「水が湧き出る」ような意味から、「一年のはじまり」というような意味に発展してきたそうです。
フランス語の「春 プランタン printemps」も「最初の季節」というような意味でしょうね。

語源の話はこれぐらいにして、「春」という言葉の意味について考えてみましょう。

はる【春】

(1)四季の一つ。三月から五月までの期間。草木が芽を出し、花がさく季節。
(2)新年。正月。 陰暦では正月から三月までが春。立春と正月がほぼ重なっていたので、新年のことを「新春」「初春(はつはる)」ともいう。

(角川必携国語辞典)

なるほど。今の暦では3月から5月。でも昔の暦では正月から3月までが春ということですね。

広辞苑では、春の期間について4種類の説明が載っていました。

2012年の場合どうなるかを図に表してみました。ひとくちに「春」といっても、定義によってけっこう幅がありますね。
ちなみに旧暦による期間が長くなっているのは、今年は閏月(うるうづき)が入るため、実質4か月の長さになっているからです。

「春」という身近なコトバをとってみても(身近なコトバだからこそ?)意味はきっちりとは定まっていないことがわかります。また、語源がわかれば現代使用されている意味が明確に定まるわけでもありません。

コトバの意味について考えるときには、コトバの意味の定まらなさを常に念頭においておくことも意外に大切だったりするのです。

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