木の描き方とロジックツリー(2)デカルトによる4つの規則

木の描き方とロジックツリー(1)レオナルド・ダ・ヴィンチの木のつづき

未知数を小文字の「x」で表現する。最初にこの表記をはじめたのは誰だかご存知ですか? 

…答えはフランス生まれの哲学者・数学者ルネ・デカルト(1596-1650)です。

デカルトより半世紀ほど先に生まれ、「代数学の父」と呼ばれるフランソワ・ヴィエト(1540-1603)は、未知数を母音文字(A, E, I, O,…)、既知数を子音文字(B, G, D, …)で表現しました。
たとえば、ある未知数の立方の2倍は、ヴィエト流表記では「2A cubus」となります。それをデカルトは「x」を使う表記へと改良しました。

さて、未解決の問題を解く方法についてデカルトほど徹底的に考え抜いた人物は人類の歴史を見渡しても極めて稀でした。
彼は論理学・幾何学解析学などの方法を熱心に研究したうえで、真理を探求するための「4つの規則」を見出したのです。

デカルトによる【4つの規則】

  • 第一に,明らかに真であると認められない限り,どんなことも決して真であると受け入れないこと。つまり,きわめて慎重に,早合点や先入観を避けること。あらゆる疑いをも取り除くほどにはっきりと明瞭に,わたしの知性に示されること以外は,決して判断に含めないこと。
  • 第二に,それぞれの問題を,できるだけ多く,そしてより良い解決に必要とされるだけ,たくさんの小部分に分けること。
  • 第三に,自らの思考を順序よく導くこと。もっとも単純で,もっとも認識しやすいことから始め,少しずつ階段を上るようにし,もっとも複雑な認識にまで上りつめること。そして,そのままではどちらた先にあるのかわからないものの間にも順序を仮定しながら行うこと。
  • 最後に,どんな場合においても,一つ一つ完全に数え挙げ,総合的な見直しを行い,なに一つ見落としたものはないと確信すること。

ルネ・デカルト,1637年 (萱野有美訳)

ぼうっと眺めるだけだと、なんだか当たり前のようにも思えるかもしません。でもそれは順序が逆なんです。
デカルトの提唱した問題解決の方法論が科学や哲学の方法に余りにも大きな影響を与えた結果、数百年後に生きるわたしたちには、一種の常識のように思えるのです。
ちなみに、デカルトが匿名で『方法序説』を出版したのは1637年のこと。ガリレオ・ガリレイが地動説の解説書『天文対話』を執筆し(1630年)異端審問で有罪判決を受けた(1633年)、まさにそんな時代でした。

ここでもう一度、デカルトによる「4つの規則」を見てみます。


  1. 早合点をさける
  2. 問題を分割する
  3. 順序よく導く
  4. 見落としがないことを確認する

概念図を補足してみましたが、これってなんだか木のカタチにも似ていませんか。

→デカルト怪物説のリアリティ
→木の描き方とロジックツリー(3)木のモデルで情報整理