通り魔は死刑に賛成の反対なのだ?
先日、大阪で2人が包丁で刺殺される凄惨な通り魔事件があった。
容疑者は「自殺しようと思って包丁を購入したが死にきれず、人を殺せば死刑になるとおもってやった」と供述し、大阪府の松井知事はそれに対して「死にたい言うんやったら自分で死ね。自分で人を巻き込まずに自己完結してほしいですね」と発言したという。
ぼくは知事のコメントにまったく同感である。被害者の方には心からご冥福をお祈りします。
ここから先は倫理的な観点は抜きに、選択肢の問題として考えてみる。「死にたい」という目的を遂行する選択肢は以下のようになる。
【目的】
死にたい【選択肢】
- 自殺する
- 他人に殺してもらう
- 頼んで殺してもらう(自殺幇助)
- 社会制度を利用する(死刑)
大阪の通り魔犯は最初1を撰ぼうとしたが、できなかったために2−2を選択したことになる。*1
ではもし日本に死刑制度がなかったら、選択肢はどう変わるだろう。
【目的】
死にたい【選択肢】
- 自殺する
- 他人に殺してもらう (自殺幇助)
「自分が死にたいから無関係の人を殺す」という選択肢はなくなるわけだ。
2012年1月現在における世界各国の死刑制度の現状は以下のようになっている。*2
- 死刑を廃止:97カ国
- 戦時の逃走、反逆罪などを除き死刑を廃止:7カ国
- 死刑制度は存在するが、過去10年以上実施していない。もしくは死刑を執行しないという公約をしている:48カ国
- 過去10年の間に死刑の執行を行った:42カ国
152カ国(上の3つ)が死刑廃止の方向性だと考えると、日本を含む死刑存続42カ国は少数派になってきていることがわかる。
今回の通り魔殺人事件では、死刑制度の存在が凶悪な殺人事件を誘発した。それはつまり死刑廃止派に論拠がプラスされたということだ。