「言葉が意見を伝える道具であるならば、まず、意見を育てる必要がある」

『言葉にできるは武器になる』(梅田悟司著/日本経済新聞出版社)という本を読んでみました。著者は電通のコピーライターです。

ぼくは普段この類いの本をなるべく読まないようにしています。読んだときには「なるほど」と思っても、自分の問題意識やその深さと直結していないと、その場かぎりのナットクで終わりがちだからです。

スポーツにたとえれば、自分がくり返し練習した後コーチのアドバイスを受けるのならいいけれども、自分がたいして練習していないのにコツばっかり聞きかじっても身に付かないということ。

ところが、今回なぜ買ってみようと思ったのか。それは、「自分が最近考えていることが、この本でより深く語られている」と思ったからです。

東京駅近くの八重洲ブックセンターでは、1階に平積みされていました。そこも含めて、何度か手にとって立ち読みしたあと、結局、買ってみることにしました。

著者のメッセージをひとことで言うと、こうなります。

「言葉が意見を伝える道具であるならば、まず、意見を育てる必要がある」

ふだん私たちは言葉を「コミュニケーションの道具」だと考えています。ところが、自分の考えが浅いところに留まっているのに、言葉だけを磨こうとしても、結局、その言葉が胸に響くことはないのです。

「言葉は思考の上澄みに過ぎない」

著者はそう言い切ります。そして「外に向かう言葉」をあれこれ言う前の「内なる言葉」の育て方について考察します。

(つづく)

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