質問の効果を分類すると?

質問には実にさまざまな効果があります。それを分類することで「質問学」がもつ可能性が見えてきます。

縦軸は下から上へ、「input/静的)」−「output(動的)」
横軸は左から右へ、「一人称」-(二人称)-「三人称・世界」
になります。

では具体的に見てみましょう。

知識を得ること

質問のいちばん分かりやすい目的は「知識を得ること」です。「質問する」と「答えが得られる」。図でいえば、一番下の青い部分になります。それは自分について知ることだったり(左)、相手について知ることだったり(中)、科学的な探究だったりします(右)。

自己管理とコミュニケーション

質問の射程を、単純に知識を得ることから、行動や関係作りへと拡張することができます。図で言えば、上中下の真ん中の部分ですね。

左側(緑)は自己管理です。「人生において何を成し遂げたいか」「今日は何をすべきか」「優先順位は」「その理由は」と質問することで、自分の行動指針を決めることができます。

真ん中から右にかけて(黄色)は、対人的な関係づくりです。図の中ほどでいえば、質問して相手をよく知ることで、関係をより深めることができます。それは「あなたのこともっと知りたい!」という意思表示でもあります。
また、疑問点について質問してそれを解消することで、お互いの情報や考え方を共有する「合意形成」を実現することもできます。

表現から問題解決まで

さらにアクティブに考えれば、質問のさまざまな応用が見えてきます。

たとえば、左側の赤い部分。質問を表現の分野で活かすことができます。好奇心の塊だったレオナルド・ダ・ヴィンチは「人体の構造はどうなっているのだろう」と疑問を持ち、人体解剖に立ち会い、それまでにないリアルな身体表現を実現しました。
それから数百年後、「写真のように描くだけでいいのだろうか」と考えたパブロ・ピカソは、人体を様々な方向から同時に描くことで新しい芸術表現を創出しました。一流の芸術家には独自の「質問=問題意識」があります。また、それは私たちが日常生活で行う個々の表現にも当てはまります。

真ん中のオレンジの部分。効果的な質問は相手の自発的な行動を促します。

右の黒い部分は問題解決です。(1)質問する=問題の明確化 (2)原因を分析する (3)解決策を導く・・・そんな問題解決のプロセスにおいて、質問は最初の重要なステップだといえます。

別の視点から(一人称の質問)

以上を別方向からもう一度整理してみましょう。「一人称=私」について考えればどうなるでしょう。効果的な質問を自分に向けて発するで、自分の心理状態や体調などを知ること(下)、自分の行動を決定すること(中)、外に向けて表現すること(上)が効率的に行えるようになります。

別の視点から(二人称の質問)

「二人称=相手との関係」で整理します。質問することによって、相手のことを知ったり(下)、相手との良好な関係を築いたり(中)、相手に行動をうながしたり(上)することが可能です。

別の視点から(三人称・世界に関する質問)

「三人称・世界」という視点で整理します。質問によって、この世界についての知識が得られたり(下)、集団における合意が形成されたり(中)、さまざまな問題解決のとっかかりができたりします(上)。

まとめ

以上、質問にはさまざまな効果が期待できます。

  • 知識を得る(自分・相手・世界)
  • 自己管理
  • コミュニケーション(関係づくり、合意形成)
  • 優れた表現の実現
  • 相手を動かす
  • 問題解決を導く

まずはこの分類を用いながら、質問の具体的なエピソードをいろいろ取り上げてみようと思っています。