木の描き方とロジックツリー(3)木のモデルで情報整理
木の描き方とロジックツリー(2)デカルトによる4つの規則のつづき
知識を整理するとき、わたしたちはよく「木のモデル」を茂用います。会社の組織、家系のつながり、生物の進化などを枝分かれする木のかたちで表すと、全体のイメージや関係がとても理解しやすくなりますね。
このような「木のモデル」は非常に古くからありました。
たとえば西暦3世紀の哲学者ポルピュリオスは、彼より数百年前にアリストテレスが定義した諸概念を、階層構造に組み立て直して紹介しました。
「実体」を「物体」と「非物体的」に分ける
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「物体」を「生きている=生物」と「生きていない=鉱物」に分ける
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「生きているもの」を「感覚をもつ=動物」と「感覚をもたない=植物」に分ける
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「感覚をもつもの」を「理性的=人間」と「非理性的=動物」に分ける
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人間には「ソクラテス」「プラトン」など個々の人物がいる
ポルピュリオス自身は絵や図を残したわけではありませんが、それから1000年ほど経ったルネッサンス期になると、いろんな階層化された知識が木のイメージを用いて描かれるようになりました。
ローマ帝王ヘンリー2世(973〜1024)家系図
Hartmann Schedel "Nuremberg Chronicle"(1509)より
女性の腹から枝が伸び子孫へと繋がる様子が描かれています。
学問の樹(Arbor scientia) ライムンドゥス・ルルス(1235-1315)
ルルスは概念を記号で表現して計算するというアイデア(ルルスの術(ars magna generalis)の創始者でもあります。その意味でライプニッツ(1646-1716)の推論計算・普遍数学や現代の記号論理学的な発想へと繋がりました。
現代では木の絵をそのまま用いて描くことはほとんどありません。でも複雑な内容をツリー上に整理することは多いですよね。
たとえば「内閣府 組織図」で検索すると、下のような図がヒットしました。
このような「木のモデル」のどこが優れているのかについて、引き続き考えてみたいと思います。
(参考)『ビジュアル・コンプレキシティ 情報パターンのマッピング』(マニュエル・リマ著・奥いずみ訳/BNN新社)